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馬嶋屋菓子道具店
東京 / 2020

「喜型」

かっぱ橋道具街の歴史は、大正元年、新堀川にかかる合羽橋周辺に、数件の道具商や古物商が店を構えたことからスタートした。
上野駅と浅草駅の中ごろに位置し、南北約800メートルの通りには、食器類や厨房設備、厨房器具、菓子道具、食品原材料及び包装用品などを取り扱う約170の専門店がアーケードに連なっている。

馬嶋屋菓子道具店は、神田万世橋にあった馬嶋喜三郎商店(日本最古の菓子道具専門店)から、現社長の祖父である吉田三郎が屋号を引き継ぎ昭和26年に創業した。
現在は浅草本願寺のすぐそば、浅草通りからかっぱ橋道具街に入り徒歩3分ほどの場所に店舗を構え、菓子道具の専門店として和洋中問わず様々が商品が取り揃えられている。

また、馬嶋屋で木型を彫って60年以上の木型職人(大河原仁氏 2019年逝去)が彫る「木型」は全国のお菓子屋さんからも絶大な人気を誇り、多くの人に笑顔を届けてきました。

そこで、馬嶋屋菓子道具店では、「お菓子の型」によって人々に喜んで頂くという意味を込めて「喜型」をテーマに設計した。

見せたい「型」は3000個。
それら全てをお客様にストレスなく見てもらい、かつ、スタッフへの負担の少ないオペレーションが求められた。
また、かっぱ橋はアーケード街であり、ビルの地下と2階以上の空間が活かされないという全国全てのアーケード街が抱える問題も内抱していた。

私は上記の問題を限られたスペースで解決するために、建築基準法上必ず必要になる避難階段を建物の真ん中に配置し、その中間の吹き抜けにフェンスメッシュを配置し、そこに3000個の型をディスプレイとして設置する事を提案した。そして、その周りに3000個のブリキボックスを並べディスプレイと番号によって紐づける事によって、お客様自身で選び、在庫から必要な数を取り出すというオペレーションとなるように設計した。

また、それぞれのフロアを真ん中の階段を挟んだスキップフロアとする事によって、3000個の型を選んでいる間に、お客様は気づかないうちに上下階に移動し、全てのフロアが繋がるように設計し、アーケード街特有の階による不活用の問題を解決した。

外層はこれから100年以上継続するであろう「馬嶋屋菓子道具店」にふさわしく経年変化によって材料の強度が上がるコールテン鋼を採用した。

私は、ここからお菓子作りを通して日本中に笑顔が広がる事を望む。



デザイナー:吉田昌弘・石井嘉恵
写真撮影:宮本 啓介


< PRESS >
architecturephoto 2020年4月 (WEB)
BAMBOO MADIA 2020年4月 (WEB)
Arch Daily (アメリカ) 2020年4月 (WEB)
gooood.cn (中国) 2020年4月 (WEB)